【出航2回目にして冬の海の洗礼を受けてきた。転覆、落水も覚悟した1時間半。】の続きです。
マリーナからの連絡を受けて、港方面に向かい始めた。
北木島の南側から西側に出てきたとたん、今までのベタ凪が嘘のような高い波が立っています。
これは、もう釣りをしている場合じゃない。
早く帰港しなければ帰れなくなる。
もしかすると最悪なことにもなりかねない。
GPSでマリーナの位置を確認して、できるだけ短距離で帰ろうと方角を定めます。
波が高かく、スピードを控えての走行。
高い波の第一波で船首が持ち上げられる。
そして、第二波がくる間に波の谷間があり船首がザッパーンと海面を打つ。
そして、第二波が船内に覆いかぶさってくる。
服はびしょ濡れ、メガネも水滴で前が見えにくくなる。
速度を抑えると、波で船が流され舵が効かない。
速度を上げると、高波で船がジャンプしたような感じになる。
必死に教本の中の「荒天時の操縦」のページを思い出そうとするが、内容が正確に思い出せない。
ただ、「荒天時は向かい波で走行するのが転覆の危険が最も少ない」と書いてあったような気がする。
ようするに波が来る方向に船首を向けて走らせるということ。
船首を波に向かわせる。
波がくると船首があがる、高い波の時はそれだけ船首があがる。
そして、波の谷間にザッパーンと船が海面を打つ。
そして第二波が船内にザッパーとかかる。
これは怖い。
波が高すぎたら船がひっくり返るんではないかと思うような感覚。
でも、「横波は最も危険」と書いてあったような気がする。
たしかに複雑に波が押し寄せてくる中で、横波を受けた時が一番船が傾いている。
横波を受けるのはやめよう。
何度か横波を受けて確信したことです。
結局、波に向かって45度くらいの角度に船首を向けるのが一番安定しているきがしたのでその方法で走行することにした。
船外機の回転数を下げると舵が効かないので、ある程度の回転数を保ちながら。
そして高波が来たらその時だけ、船首を波に向ける。
波の方向ばかり意識して針路を決めていると、マリーナとは違う方向に進むことになる。
このまま波に合わせて針路をとっていると、最終的に今度は追い波を受けながら船を進ませる必要がでてくる。
荒天時の追い波が良しか悪しかは全然分からないし、教本にどう書かれていたかも全く思い出せない。
向かっている方向の左手に小さな島が、そしてその対岸50メートル(右手方向)くらいのところに干出岩群がある。
この小島と干出岩はつながっていて、あいだは浅瀬で岩がある可能性が高いと思う。
本来であれば、これらすべてを大きく回避したいが、高波がそれをさせてくれない。
どうすることもできず、あいだを通過した。
大海原を360度見渡したりもしたが、はるか向こうに大型船が見えるくらいで、小型船は一隻もない。
不安でしょうがない。
出発して1時間ほどして陸が見え始めました。
進行方向は間違ってないはずなので、帰港すべきマリナーがある陸地です。
そして陸地に近づいてくると今度は右側遠くから大型船が。
この場合回避義務はこちらにある。
このままこの針路で進み続けると衝突の恐れがある。
高波で大きく針路を変えるのも不安がある。
速度を落として舵効き不能になり、波の餌食になることも考える。
さまざまな想定をしながら結論を出す。
ゆっくり右に針路を変えて、緩やかに右方向に針路を変えました。
無事、大型船は通過していきました。
- 高波で思うように針路が取れない。
- 島や岩、浮標といった避けるべき障害物。
- 大型船。
これらをなんとか乗り切りマリーナに到着したのは出発して1時間半後。
通常なら30分くらいの距離なのに。
左手はハンドル、右手は手スリを握りしめ。
眼鏡の水滴を拭く余裕もなく。
服を着たまま海に入ったんではないかというくらい潮を浴びて服はびしょ濡れ。
この1時間半の間になんど船が転覆すると思ったか…
この1時間半の間になんど落水すると思ったか…